2022年(令和4年)と1960年(昭和35年)の日本の年代別構成比を比較することでわかる少子高齢化問題の根本原因と解決策。

2022年1月1日時点の日本の人口構成比(外国人も含む)は、総人口125,927,902人(男性61,420,626人、女性64,507,276人)で、65歳以上の高齢者数(3,593万人で総人口に占める割合<28.53%>)である。0歳~14歳の人口(1,503.6万人<11.94%>、15歳~64歳の生産年齢人口(7,496.1万人<59.52%>に対して、1960年(昭和35年)の総人口94,301,623人(男性46,300,445人、女性48,001,178人)で、65歳以上の高齢者数(539.5万人<5.72%>、0~14歳の人口(2,843.4万人<30.15%>、15歳~64歳の生産年齢人口(6,047.2万人<64.12%>であった。1960年(昭和35年)~2022年(令和4年)の62年で0歳~14歳の世代が1,339.8万人減少して、総人口に占める割合でも30.15%→11.94%に18.21%減少している。それに対して65歳以上の世代では、3,053.5万人増加して、総人口に占める割合でも5.72%→28.53%に22.81%増加している。一方で15歳~64歳までの生産年齢人口を比較すると1,448.9万人増加して、総人口に占める割合では64.12%→59.52%に4.6%減少している。生産年齢人口の減少が0歳~14歳までの世代及び65歳以上の世代の人口増減に比較すると僅かなことがわかる。0歳~14歳までの世代の減少数と減少率が大きい理由について考えると、その主な原因に①婚姻数と②出生率があげられる。1960年(昭和35年)の婚姻数は、約85万組で合計特殊出生率は、2.0人であったが2022年(令和4年)の婚姻数は、約50万組で合計特殊出生率は、1.3%と婚姻数で35万組減少し、合計特殊出生率も0.7%減少している。1972年(昭和47年)の第二次婚姻ブーム時の110万組の婚姻数と比較すると年間60万組も減少していることがわかる。婚姻数は1972年(昭和47年)の110万組を境にして減少傾向に転じて、昭和63年から増加傾向に転じたが、近年増減を繰り返し2002年(平成14年)以降は、増加することはなく婚姻数はひたすら減少を続けている。1986年に労働者派遣法が制定されソフトウエア開発・事務用機器操作・通訳・翻訳・速記・秘書・添乗員などの13業種の専門職のみに認められた労働者の非正規採用は、1999年に派遣できる業種が原則自由化になり、幅広い業務で派遣を利用することが可能になり、企業にとって非常に使い勝手の良いシステムになった。そして、労働者派遣事業に関わる売上が右肩上がりに急拡大していった。2002年(平成14年)以降、婚姻数がひたすら減少の一途を辿っていることについて調べると、1999年から始まる労働者派遣の原則自由化に突き当たる。労働者派遣法により若者の非正規化が進み、非正規社員の割合が増えたことにより、1972年(昭和47年)第二次婚姻ブームで婚姻数が110万組の時は、企業の従業員が主婦などのパートタイム従業員以外は、殆んどすべてが正社員で安定した収入を得ることができたのに比べ、20代~30代前半の結婚適齢期世代の非正規社員の割合が3割を超え、安定した収入が得られない若者が増えたこと、そしてこのような状態が20年以上も続いたことにより、結婚をしない若者が増えたことと、1972年(昭和47年)に平均初婚年齢が男27.2歳、女24.4歳が2022年(令和4年)男31歳、女29.5と晩婚化が更に進んだことにより、子供を1人だけにする夫婦や子供を作らない夫婦が増えたことが出生率の低下に大きな影響を与えている。1960年(昭和35年)では、1人のお年寄りを11.2人(生産年齢人口)で支えていたのに対して、2022年(令和4年)には、1人のお年寄りを2.1人(生産年齢人口)で支える極めてアンバランスな人口構成比になっている。これは自民党政権が50年間出生数の減少という極めて重要な問題に対して、有効な対策を講じて来なかったことに起因するのだが、今日この少子高齢化問題の根本的な解決を絶対に避けて通れないところまで来ている。児童教育の無償化を始め、子育環境の整備や子育て支援は、当然必要であるが、更に大学の授業料を完全無償化して、子供の教育費の負担を減らすことで出生率を上げることができるはずである。若者達が安心して働ける社会、人生設計が出来る安定した雇用をつくることこそが、今政府に求められていることではないだろうか。そのためには改正労働者派遣法を廃止し、希望する全ての若者が派遣ではなく正社員として雇用されるような労働法制を整えるべきである。

Posted by たっちん