通信の最先端技術5Gの世界標準を賭けたアメリカと中国の覇権争い

2022年9月25日

2030年にGDPで中国は、アメリカを追い抜くことが予想されている。そのような世界を取り巻く経済環境の中で、今ひと際注目を集めているのが、通信の最先端技術5Gの世界標準を賭けたアメリカと中国の覇権争いである。アメリカは、5Gでアメリカに先行する中国のファーウェイ・ZTEなどが経済制裁中のイランと取引をしたという理由で、ファーウェイ・ZTEに対して7年間の取引停止を通達して、アメリカでスマホなどの携帯端末を販売することができなくなっている。また、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなど【ファイブ・アイズ】と呼ばれる機密情報共有ネットワークで結ばれている英語圏5ヵ国と協調して、次世代通信規格5Gについて中国の通信機器メーカーを排除することを決定して、ファーウェイやZTEと取引をしている企業に対しても同様の制裁を科することを決定した。アメリカ政府は、ファイブ・アイズ以外の同盟国に対しても、ファーウェイやZTEが通信機器やサービスを使って、中国政府に代わってスパイ活動をしているという理由でファーウェイやZTEと取引を禁止するように求め、取引をした企業に対しては、アメリカとの取引ができなくなるなどの経済制裁を科す姿勢を示すことにより、中国の通信機器メーカーをアメリカを中心とした市場から排除することで、5Gの覇権をなんとか手中に収めようと躍起になっている。また、アメリカは、中国に対する通信端末の半導体の輸出制限によって、ファーウェイ・ZTEなどの中国の通信機器メーカーが、通信端末の生産を出来ないようにしようとしている。このように通信の最先端技術5Gの覇権をめぐってアメリカと中国は、鎬を削っているが、アメリカの中国を市場から排除しようとするデカップリング政策は、アメリカを中心にした市場と中国を中心にした上海協力機構(中国、インド、ロシア、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、パキスタン)などが参加する人口30億の市場の分断を産むことになり、この新たなブロック経済の問題は、アメリカと中国の間に軍事的衝突も含めた新たな冷戦を生み出すきっかけになるのではないだろうか。

Posted by たっちん