永世中立国とは、どのような国?
永世中立国とは、自ら戦争を始めないこと、他国のいかなる戦争にも参加せず、中立を守ることが国際的に承認されている国家のこと。代表的な永世中立国には、スイスやオーストリアがある。中立を保つためには他国と軍事同盟を結んだり、集団安全保障条約の当事国になることは出来ません。しかし、憲法で戦争放棄・戦力の不保持を定めている日本とは違い、軍備を保持し、武力を行使することが認められています。ただし、武力行使を行う場合は、自国の防衛や他国から自国の中立を守るためであれば、という条件が付いています。
永世中立国スイスは、ハプスブルグ家からの長い独立の戦いを経てスイス盟約者団が国家の中核となり、1648年のウエストファリア条約によって独立を国際的に承認された。その後も周辺の列強の干渉や侵略を受けながら、武装して中立を守るという独自の伝統を築き、ナポレオン戦争後のウイーン会議で永世中立国であることが承認された。スイスの永世中立は、憲法で中立を謳っているのではなく、各国に対して中立であることを表明することで維持されている。スイスは、第一次世界大戦、第二次世界大戦でヨーロッパ中が戦争の甚大な被害を被る中、永世中立を守ることで直接的な戦果を免れ、唯一ナチスドイツの占領を免れたヨーロッパの国であった。戦後の集団安全保障の国際的な動きに対しては、国際連盟には加盟したが、国際連合には当初加盟しないという異なる方針を取ったが、2002年には国際連合に加盟した。しかし、EU加盟は国民投票で否決され、実現していない。
永世中立国オーストリアは、第二次世界大戦でドイツ・イタリア・日本の枢軸国側について、アメリカ、イギリス、中国、ソ連の連合国との戦争で負けた敗戦国です。1955年5月、アメリカ・イギリス・フランス・ソ連の4ヵ国とのオーストリア国家条約によって連合国軍の占領から独立が認められ、国家主権を回復した。オーストリアは、条約の規定に従い、同年10月に「永世中立に関する連邦憲法法規」(中立法)を制定して、世界に向けて「永世中立国」であることを宣言し、どの軍事同盟にも属さず、国内に外国の軍事基地を置かないことを定めた。それと同時に国際連合への加盟も果たした。オーストリアは、国際連合には加盟しているが、集団的自衛権を掲げる北大西洋条約機構(NATO)には、加盟していない。ただし、協力関係にある。また、ヨーロッパ連合(EU)には、1995年に加盟したが、その外交安全保障政策(CFSP)と中立政策は両立するとの立場をとっている。
その他、中米の小国コスタリカは、1948年に軍隊を廃止して以来、憲法にも非武装を掲げており、1983年には、永世中立国を宣言している。同じく永世中立国として承認されている国には、カスピ海の東にある中央アジア諸国の一つで、1995年12月12日に国連総会決議によって永世中立国として承認されたトルクメニスタンやスイスとオーストリアの間に挟まれた小国リヒテンシュタインやバチカンは、軍備を放棄した非武装中立国などがある。
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